俺も、醸成話に翻弄されていた一人だったのかぁ...
諸葛亮の英雄伝に感化され、俺の中で彼はまるで四次元的なヒーローとなっていた。その”三国志”に初めて出会ったのは、世界史を学んだ高校の頃。当時は全く興味を持ってなく、この類(特に世界史)は俺にとっては馬耳東風事だった。関心事といえば、他校の連中とツルんで、ず~っとバンドばかりやっていた。俺はギター野郎だったが、カスタネットの方がうまかった(笑)
大学に入った頃かな、あのコーエーさんからファミコン用ソフト”三国志”が発売され、俺はこれを友人から勧められてやってみたら超面白かった。と同時に、三国志ファンになった。勧めてくれた友人は、この三国志に登場するある人物のことをよく話題にしていた。それが諸葛亮だ。この時彼が話していた内容は ”正史三国志” の内容だった...
奇策奇略をもって他の2国を苦しめた、軍師諸葛亮。神出鬼没の伏兵ゲリラ、ハズレの無い読み(人様の未来行動予想)、千里の彼方で100%成功する計略…正に計画通りに進むマンガの中で台本通りに展開されるストーリー。全てが諸葛亮を中心に繰り広げられていた。そのノリで(醸成話が本当の話だと信じ込んで)時は経った。そして俺の前に現れた今に生きる司馬遷、おしょう≠ZEROさん。彼は正史三国志を知っていたのだ...
俺が大事にして来た三国志はもろくも崩れ去った。俺は信じたくなかった…「うっそだぁ~!俺の、俺の諸葛亮先生は、そんな人ぢゃないやぁ~いっ!」 なぁ~んつぅガキチックな反逆心を持った俺。俺にとっての真の三国志探求はそこから始まったのだ。俺は漁りまくった。ありとあらゆる三国志の史実を。ついにはそれだけでは飽き足らず、前漢・後漢、項羽と劉邦、始皇帝、戦国、春秋、殷周と、時代を遡って、何なら中国史上の真実を全て知りたくなった。そのおかげもあって、アツい中国がつまらなくなるまで(今のところ五胡十六国まで)の歴史の殆どを読み切っていた。x
彼の祖先も然り、父親も然りで政治家だ。”武門”ではなく”文門”の出なのだ。彼には軍略の才など無いどころか、劉備に仕えた時点で兵法すら吸収してはいなかったらしい。その諸葛亮の最大のウリ、かなりハイレベルな管理能力だった。後の蜀で志を共にする法正や、三国志演義では諸葛亮よりも軍師としての能力は劣勢とされる龐統。史実、彼らは諸葛亮と比較するには聊か失礼にあたる程の名軍師だ。この2人はかなり早く死を迎えている。このことがある意味、諸葛亮自身が思うよりも早く戦場に駆り出されることになった切欠となっていたようだ。
真の諸葛亮とは?彼は優れた”管理部長” だった。ただただ史実の彼が誠実で忠義の塊であったことが醸成物語の中でここまで祭り上げられ、美化され、崇拝される理由になったんだろう。
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